コロナの影響
人材業界には、どの程度コロナの影響があったのでしょうか。
インプレッションは、人材派遣会社、人材紹介会社、HRテック企業等の人材業界からの求人を専門に取り扱っています。その求人の動きを参考にしながら人材業界の現状を見ていきたいと思います。
コロナ禍による緊急事態宣言が全国に発令された4月~6月あたりと、それ以降を比較してみます。
コロナ直後の人材業界の主な動き
コロナ直後の人材業界の主な動きについて
- いったん求人はストップ、様子を見る会社がほとんど。
- 4月、5月の求人受注件数は、コロナ前の70%程度。リーマンショックの時のように求人は0件にはならなかった。
- 未経験者採用枠はクローズし、即戦力の経験者募集が中心となる。
- 人材派遣会社は6月更新の見通しがたたないことから、求人が減少。
- 人材紹介会社では、ハイクラスをターゲットにしているエージェントはあまり影響を受けていない。中には過去最高売り上げを更新する会社もあったほど(数社あり)。
- 求職者登録の動きは鈍かった。
- 派遣登録者は増加した。
- 勉強会等等で、各社の求人状況を確認したところ、概ねコロナ前の6-7割という会社が多かった。
- テレワークの導入がいっきに進んだ時期。テレワークのシステム整備、ルールの構築、効果検証などを行う。
- WEB面談もいっきに普及した時期。ご登録者だけでなくクライアント企業との商談もWEB商談が増えた。
- 社内ミーティングやセミナー等、オンラインコミュニケーションが中心に。
7月以降~現在の動き
- 人材紹介業界は領域にもよるが、コロナ前に戻りつつある。特にIT領域は好調。
- 派遣業界は9月更新も大きな終了はなく下げ止まった感あり。
- 人材会社からの求人件数はコロナ前と同水準に戻った。
- ハイクラス領域をターゲットとするエージェントは引き続き業績好調。
- 求人企業の採用ハードルは引き続き高め。現職(前職)での実績をより重視される傾向、定着性を重視される傾向が強くなってきている印象。
- テレワークや副業など、求職者の希望が多様化してきている。
- 求職者の動きはコロナ前に戻りつつある。
- 当社の勉強会へのご参加者数も大きな変化は見られない。
- 企業面接は、対面での面接に戻している会社もある。
- テレワークは各社により対応がまちまち。週2日程度のミックスが主流。フル出社に戻している会社もある。
- その他、業務のRPA化が進みそうな印象、事業の多角化が進みそうな印象。
インプレッションの求人の動きからみる人材業界動向
人材紹介コンサルタント職、派遣営業コーディネーター職の求人数
2019上期 | 2019下期 | 2020上期 | 2020下期 | |
---|---|---|---|---|
人材派遣業界 | 53件 | 40件 | 60件 | ? |
人材紹介業界 | 54件 | 52件 | 59件 | ? |
先日の勉強会では、内訳も詳しく説明させて頂きましたがここでは概要のみ掲載させて頂きました。
2019年下期はコロナの影響を受けて求人数が12%減少しました。2020年上期は(領域には偏りはありますが)コロナ前水準に戻りました。
リーマンショックの時のような大きな落ち込みは今のところ見られません。
以上が概略ですが、個別には下記のようなトピックスもあり
- コロナ特需での売上増加
- 同一労働同一賃金で粗利率が改善し利益を伸ばした
- コロナの影響をあまり受けず過去最高売り上げを更新した
- オフィスの移転
- 雇用調整
人材各社一律の動きではないという印象です。
突然やってきたコロナ禍の数か月間で、人材業界も大きく変わりました。
今後の事には誰にもわかりませんが、人材業界もコロナ禍を契機にニューノーマルな時代への変革時期に入っていることは間違いありません。
この記事の担当者
木村 正宏
【人材業界専門エージェント】株式会社インプレッション
代表取締役 人材業界(派遣・紹介)歴32年